リアル店舗で売上をアップするためには、購入を計画し決めてきたモノ意外を衝動的に買ってもらうことが必要です。
例えば、1回の衝動買いが500円であっても、10人なら5,000円。
仮に1日の来店が100名だったとすると、50,000円です。
ということは、1ヶ月のうち10日間この状態が続けられたとするなら、
5,000円/日 × 10日 = 50,000円
50,000円/日 × 10日 = 500,000円
いかがでしょうか。衝動買い、ナメてはいけません。
そこで今回は、リアル店舗で売上をアップするために必要な「衝動買い」を計画する方法についてお伝えしていきます。
目次
1: 売れるモノと売れないモノ
まず、衝動買いの前に、売れるモノと売れないモノがあることを整理しておきましょう。
売れるモノとは、次のようなモノを言います。
- 必要だから仕方のないモノ
- 見るだけでも心がワクワク踊るモノ
- 悩みや不安を解決してくれるモノ
- 解決した先にある明るい未来を見せてくれるモノ
必要なモノの代表例は「日用品」ですね。
ワクワクするものと言えば、女性なら「キラキラ」したモノでしょう。
キラキラには女性を魔法にかける力がありますから。
悩みや不安の解決と言えば代表的なのは「やせたい!」「キレイになりたい!」「お腹割れたい!」という課題解決。
そして、同時に課題を解決した先に、自分が快適に暮らしている姿を見せてもらえると、断然買いたくなるモノ(=売れるモノ)になっていきます。
では、反対に売れないモノは、どんなモノでしょうか。
おわかりの通り、先ほどのことが提供されていないモノです。
- 会社が売りたいモノ
- 売れるだろうと思っているモノ
- むかしに売れたモノ
- 売りたい価格設定
具体的な例で言いますと、
5月から10月までクールビズが推奨されているにも関わらず、グレーや濃紺スーツとネクタイを、この期間に売り込もうとする紳士服売場。なぜか婦人服売場のフロアの片隅にある、紳士向けオーダースーツ店。
実際の気候よりも、カレンダーに合わせたバーゲンやセール。
慣例や経験を大切にし、市場の「今」を見ずに行ったモノは売れません。
2: 店舗売上のアップは衝動買い
もし、あなたが売れないモノばかりを扱っているのなら、衝動買いを起こしてもらう以前の話です。先にそちらを改善してください。
ここでは、あなたが売れるモノを提供しているとします。
通常消費者は、売れるモノを計画的に購入します。
多くの場合、お店へ入る前に
- 予算
- 商品
- 量
最低限でもこういった要素を計画し決めています。
しかし、ここで衝動買いという計画以外のモノを購入してもらうことで、売上がアップするのです(冒頭の計算式です)。
これは夕方のスーパーへ買い物に行かれた経験のある方ならわかると思います。
「今日の夕飯の買い物」を考えて家を出ているにも関わらず、スーパーに入ってあちこち見ていると
- 寒い日にPOPで鍋を勧めていたので思わず鍋の材料を買った。
- 「半額」のシールを見つけて、今日は食べる予定がないのに買った。
- 実は明日も買い物へ来るのに「30%引き」に引かれて買った。
スーパー以外なら、カジュアル衣料のマックハウスがお得意の
「もう1着買うと、2着目半額」
この言葉に釣られて買ってしまったという人もいると思います。
これらのように、当初は計画していなかったモノを衝動的に購入してもらえると、1人の客単価がアップしますので、自動的に売上もアップしていきます。
3: 衝動買いをする理由
どうして私たちは計画になかったモノを衝動買いしてしまうのでしょうか。
衝動買いを促す理由には、大きく分けて5つの理由があります。
3.1: 値ごろ感
自分にとって「お得」と感じる値段だった場合、計画になくても思わず手にとってしまいます。
この場合の「お得」に対する価値基準は人によって異なりますが、誰もが価値基準をもっていますので、そこを下まわると衝動買いが起こります。
3.2: 良い言い訳
「自分へのご褒美」という、女性が大好きな言葉があります。
これ、冷静に考えると計画したものだけでも良いはずなのですが、衝動買いする理由が見つかることで買ってしまうことができます。
買うこと(お金を出すこと)への罪悪感に対して、購入する正当な言い訳が出来ると衝動買いが起こります。
3.3: 痛みが少ない
この場合の痛みとは、お金を払うということです。
人は誰しも、1円であっても現金を払うときには痛みを感じています。
しかし、現金ではなくて、例えばpaypayのようなキャッシュレス決済で簡単に買えるのなら、痛みが少なくなり(ほぼゼロ)煩わしさもなく買ってしまえます。
そして、この理由の最たる衝動買いをする場所はネット通販です。
「見た!欲しいかも!ポチッ!」
これで終わりです。買いやすくて痛みゼロ。衝動買いスペースです。
3.4: 希少性
その人にとって希少性を訴えられれば、それは衝動買いの理由になります。
- 現品限り
- 入手困難
- 世界で10台
また、最後の1個だとわかると、俄然買いたくなる。
これも衝動買いの理由です。
3.5: 限定
実は、冷静に見ると限定のもので、後々まで価値のあるモノなんてほとんどありません。でも、
- コラボ商品
- タイムセール
- 期間限定
これらの限定を打ち出されると、思わず衝動買いの理由となって買ってしまうことがあります。
4: 衝動買いを生み出す要因
衝動買いを生み出すには、これら5つの理由があると購買行動へと進んでもらいやすくなります。
そして、衝動買いを生み出す要因には、3つのことがあります。
4.1: ストレス
人はストレスが高まると、ついつい購買行動を起こします。
消費することはストレスを解放する一つの方法だからです。
これは消費を「娯楽」だと思うと理解しやすくなります。
4.2: 気分アップ!
ディズニーランドへ行くと、なぜがネズミの耳を購入して頭に着けている人がいます。
もし、ディズニーランドへ行かず、浅草の雷門の前で同じモノを売っていたら購入して頭に着けて地下鉄に乗るでしょうか。
まず、そんなことは起こりません。
人は気分がアップしているとき、必要のない、計画になかったモノをついつい購入してしまいます。
4.3: 戦略
あなたのお店が消費者に対して「つい買いたくなる」戦略を実施しているときです。
ここ、大事です。
この3つの要因を見ていくと、私たちがコントロールできることと、できないことがあるのに気づくでしょう。
ストレスを消費者へコントロールして与えるのは、かなり難しいですね。
また、ストレスで買い物でもしないと気持ちが楽にならない人を、毎日集めるのは正直なところ無理。仮に出来たとしても、やりたくないです。
ということで、ストレスは使えません。
でも、気分アップと戦略は、私たちがコントロールできることです。
この2つを私たちが戦略的に取り組むことで、衝動買いを生み出すことが出来るのです。
5: 消費者行動を促す8つの効果
では、どのようにして気分アップと戦略を行うのかを紹介します。
ここでは非合理の代表である「人」の考え方を分析することで得られた「行動経済学」で言われている衝動買いを促す効果を説明します。
これらの効果を組み合わせることで、あなたのお店にも衝動買いを生み出すことができるでしょう。
5.1: 気分一致効果
人は記憶するときの気分と内容が一致すると、記憶力がアップすると言われています。
また、こういったときに記憶された情報は、気分が一致することで簡単に思い出されるとも言われています。
この効果を使うことで、あらかじめ記憶させておき、いよいよ発売というときに思い出せることができます。
例えば代表的なのが、バレンタインデーやクリスマスケーキです。
だいたい1ヶ月前には特設されています。しかし、1ヶ月前からチョコもケーキも買う人はいません。
これは「そこにある」ことを1ヶ月前から記憶させ、いよいよ本番になったとき「あっ、買わないと」という気分一致から購買へ進める戦略です。
5.2: アンカリング効果
具体例から見ていきましょう。
こういうPOPを見たことあると思います。
「通常6700円 → 特別価格3700円」
もし「3700円」だけだと売れません。値段は同じなのに売れません。
「6700円」をアンカリングすることで「3700円」にお買い得を感じさせています。
さらにこういうPOPもありますね。
「通常6700円 → 特別価格3700円のところタイムセール中のみ2700円」
これは2つのアンカリングを行っていることになります。
5.3: ハロー効果
同じモノなのに、権威や知名度など、特定の情報によって評価を歪めてしまう効果です。
例えば、私の住んでいる地域では次のようなモノがあります。
「○○さんの作ったブルーベリー」
当然私は「○○さん」に会ったことはありません。
でも、「ブルーベリー」とだけ書かれたモノよりも、「○○さん」の方を選んでしまう自分がいます。
他にも代表的なのは、
・女性タレントを使ったビールのCM
・化粧品やシャンプーのCM
・「○○産」と書かれた牛肉
「安心できる」「信頼できる」「あんな風になれそう」
こういった感情を喚起することで、気分をアップさせるのがハロー効果です。
5.4: ピグマリオン効果
気分をアップさせる効果の代表が「ピグマリオン効果」です。
これは簡単に言うと「ほめる」ということです。
ほめられて嫌な気持ちになる人は少ないですし、どちらかと言ってほめられると気分もアップするものです。
また「良い」ことをほめるよりも「価値」をほめる方が効果があります。
例えば、
「そのスカーフ、お似合いです」
よりも
「そのスカーフを選ばれるとはお目が高い」
こういうニュアンスです。
5.5: フレーミング効果
見え方の違いを衝動買いへ使います。
例えば、同じことでも見え方を変えると、勝手に捉え方も変わります。
「100人のうち、70人が使って良かったと回答しました。」
「100人のうち、30人が使ってダメだったと回答しました。」
どちらも伝えている内容は同じです。でも、前者の方が衝動買いを促すことが出来るでしょう。
消費者が喜ぶ伝え方、見え方を選ぶことが必要です。
5.6: おとり効果
人は基準がないと比較検討できません。
おとり効果とは比較対象を提示することで、選びやすくする効果です。
ネット系の情報商材などに多いのが、次のような「おとり効果」です。
A:オンライン教材 39,800円
B:テキスト教材 59,800円
C:オンライン+テキスト教材 59,800円
この場合、「おとり効果」を知っている人は「A」を選びます。
でも、知らないと「C」を選ぶ人が多いです(なんだかお得そうな気がする)。
自分にとって必要なものを選ぶのではなく、値段と内容の数で判断してしまうのでしょう。
5.7: 損失回避
「あなたの悩みは○○がないからです」という
人が持つ「損したくない」という心理をついた方法です。
この効果、使いすぎると困ったことにもなります。
例えば、閉店間際のスーパーでお買い得な買い物ばかりする人は、普段の営業時間には商品を買わなくなります。
だって、お買い得よりも普段は高いから。これはその人からすると「損失」なので回避しているに過ぎません。
やりすぎ注意です。
5.8: 確実性効果
信頼にもつながります。
女性用スキンケア用品の広告を見るとわかりやすいです。
「ご利用の○○代の方の98.7%が満足されています!」
98.7%の人が満足しているのなら間違いないだろう。という安心感。人は出来るだけ失敗したくないので、確実な情報が与えられているものを選びます。
さいごに
モノが売れないと言われて久しいですが、今でも従来のままというお店、あると思います。
この場合のモノが売れない原因は、売れるモノを適切に出せていないだけなのだと思います。
まずは衝動買いで売上アップを考えながら、同時にご自身が出来る「売れるモノ」について時間を取って考えてもらいたいと思います。
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