ECサイトを手に入れて運用をスタートする。
ワードプレスなどCMSを使ってオウンドメディアの運用をスタートする。
3ヶ月、6ヶ月、一年と運用しても、思ったほどの成果が出ていない会社も多いことでしょう。
でも、成果が出ていてもいなくても、毎月固定費を必要とするのがソフトウェア(システム)です。
どうしてこんなただの「金食い虫」が偉そうに存在し、開発会社や制作会社の担当者へ面倒な問い合わせを行い、専門用語で回答されて頭を抱え悩まないといけないのでしょうか。
実はこのようは状態に陥るには、相応の理由があるからなんです。
その理由を今回は、IT業界で30年にわたり現場を見てきた経験から、ご紹介したいと思います。
1: 目線が間違っている
そもそも論ですが、このような状態に陥る最大の理由は、あなたが手に持っているECサイトやオウンドメディアが、開発会社や制作会社の目線で作られているからです。
エンジニア目線でECサイトやオウンドメディアを作ると、技術屋としての満足感は得られます。
しかし、作ったECサイトやオウンドメディアを利用するのは誰かということ。
この場合、利用するのは2つの「誰」が存在します。
(1)あなたたち
(2)あなたたちのお客様
ここでしっかりと覚えておいてもらいたいことは、開発会社や制作会社の担当者は「(1)あなたたち」が喜ぶもの、文句をいわないもの、クレームになりにくいもの、を作り上げようと考えています。
これはこれで大切なことなのですが、本来ならあなたたちが欲しいものは「(2)あなたたちのお客様」に向けた目線のはず。
では、どうしてこういうことをやる開発会社や製作会社が多くないのかというと、単にこういうことです。
『だって、いろいろと調査しないといけないし、話をしても進まないから面倒じゃないですか』
あなたの大切なビジネスに投入するECサイトやオウンドメディアへのお金は「面倒」という一言で片づけられ、成果から遠く離れたところで消費されてしまっています。
今一度、あなたが手に入れているECサイトやオウンドメディアの目線が「誰」になっているのか、あなた自身で確認しましょう。
または、第三者に見てもらうと、あなたのフィルターを通した目線とは違い、はっきりとした意見をもらえることが多いです。
勇気を持って第三者の意見をもらいましょう。
2: 技術は複雑性を好む
あなたのECサイトやオウンドメディア、かっこいい作りになっているのは良いとして、画面上で画像がグルグル動いたり、よくわからないけれどポップアップ画面が出たりして、がちゃがちゃした雰囲気になっていないでしょうか。
ECサイトやオウンドメディアを制作する担当者や会社さんは、技術力が売りですから、売りを最大限発揮してあなたに「お~、すごい!」と思ってもらいたいと考えています。
そのため、技術を投入してくるのですが技術とは、考えなしに使うと必ずといってもいいほど複雑なものを作り上げます。
思い出してみてください。
掃除機や冷蔵庫、洗濯機。
どれも役割はシンプルなものですが、付加価値という名の下に技術を投入したことで、複雑な家電が登場しています。
ほんと、希にですがアップルのように複雑になることをシンプルにする会社もありますが、そんなところは一握り。
普通は技術を使えば使うほど、複雑性が増してきます。
ですから、あなたのECサイトやオウンドメディアをもう一度見てもらいたいのです。
本当に今のデザインやボタンの位置や大きさや色が見やすいでしょうか。
クリックしやすいでしょうか。
カッコいい表示をしたいばかりに、お客様へやってもらいたい行動を邪魔していないでしょうか。
お客様はわざわざこちらの意図を汲み取って、面倒なことを一つ一つやってはくれません。
「シンプルこそ正義」
3: サイトやシステムに完璧と完成は存在しない
ECサイトやオウンドメディアなどのシステムに完璧や完成を望んではいけません。
これらのシステムは、あなたのビジネスが継続するのと同じように併走し、改善改修を常に行い続けるものです。
間違っても、一度作ったからもう終わり、というものではなく、また、最初から100%の完璧を目指すものでもありません。
「ソフトウェアとは永遠のベータ版」という言葉があります。
まさにこの言葉が正しいことを表しています。
もっとも基本となる「商品やサービスの提案」「決済」「ユーザー管理」が出来ているなら、すぐにスタートです。
後の機能は走りながら追加していきましょう。
もしあなたが、最初から「アマゾン」「楽天」「ZOZO」のようなシステムを持たないとダメだと思っているなら、それはやらないための言い訳だと気づいてください。
4: 技術よりもナニが楽になるのかが重要
あなたのところにあるECサイトやオウンドメディア。
このようなシステムを導入することで、あなたのビジネスにはどのような「楽」が増えたでしょうか。
IT業界での「あるある」ですが、システムを導入すると人件費などが削減できますといいますが、実際には増えることの方が多いのです。
詳しくない担当者がシステムについて、残業してあれこれやっている。
これだけで残業代が増えています。
パソコンをはじめとした光熱費もアップしているでしょう。
開発会社へ電話をしているなら、電話代も増えているはず。
小難しい技術が満載されたシステムで喜ぶよりも、あなたのビジネスにおいて「楽」になること、なったことがあるのかを見ないといけません。
ECサイトやオウンドメディアを導入すると、その満足感から、何かわからない成功したような気分に浸る人もいます。
しかし、それはただお金を出してツールを手に入れただけで、ツールを適切に活用し結果を出したこととは別の話です。
システムを所有しただけで満足することは無意味です。
所有することで満足したいなら、時計や車、高級スーツやシューズを買いましょう。
5: 保守メンテと改善は別物である
ECサイトやオウンドメディアを制作すると、開発会社や制作会社との間に「保守契約」というものを結ぶことになります。
保守契約とは、毎月あなたのサイトが「普通」に動いているかどうか確認しますよ、という契約です。
保守契約を結んでいるからと言って「ここを変えて欲しい」というような改善要求をすんなり実行してくれるとは限りません。
だいたいは「見積もりします」という回答があるでしょう。
ですから「保守契約」というものを結ぶときには、どの範囲までが対応可能なのかをしっかり確認しておきましょう。
例えば、サイトオープン後、半年は改善要求を保守契約の範囲内で受け付けてくれるのかどうかとか。
保守契約を結んでいるときには、何時間で正しい状態に戻してくれるのかとか。
特に期限に関しては、開発会社の視点で契約書が作られていますので、あなたの会社の担当者が必要なことを行うには、日数が足りないことがあります。
開発会社目線の期限ではなく、あなたの会社の担当者が余裕を持って行える日数に変更するよう交渉することも忘れないでください
6: 最後に
ECサイトやオウンドメディアは、あくまでもツールです。
これらがあなたのビジネスの中心に鎮座し、これらを中心としてあなた達が回るのでは意味がありません。
あくまでもビジネスの中心は、システムでもなく、あなたでもなく、お客様です。
お客様の目線を中心とし、外側にいる自分たちとの間を取り持つのが、ECサイトやオウンドメディアというツールです。
これらそれぞれの立ち位置が正しく理解できれば、あなたの腰抜けシステムに必要なことがわかります。
そうすると改善することでシステムの意味が変わり、ガンガンと成果を出し続けてくれます。
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